産科

無痛分娩

無痛分娩

● 当院の分娩について
当院では、できるだけ自然分娩を大切にしています。経過中に痛みが強くなり痛みの軽減を希望された場合は、薬剤を使って対応いたします。

● 痛みをコントロールすることのメリット
分娩中の痛みが軽減されることで、痛みへの恐怖心がやわらぎます。また、副交感神経が優位になるため産道が広がりやすくなることもあります。
痛みが軽減されることで、お母さんの心臓や呼吸への負担が軽減されます。

● 無痛分娩の流れ
① 自然な陣痛発来を待つ場合
自然に陣痛がきたあと、ある程度痛みが強くなったら痛み止めを行います。
1)静脈的投与
ペンタゾシン(ソセゴン)、アルチバ、ペチジンなどの静脈的な痛み止めの投与を行います。注射での投与なので夜間でも行えます。
2)硬膜外麻酔
硬膜外に麻酔薬を投与します。効果がでるまでに20~30分かかりますが、チューブを留置するため薬剤を持続的に投与することができます。
3)脊髄麻酔
効果はすぐに出ますが、持続時間は2~3時間程度なので、その間に分娩になりそうな場合に行います。
② 計画無痛分娩
入院して子宮収縮剤による陣痛を誘発し子宮口がある程度開大したら薬剤を投与し疼痛コントロールを行います。
疼痛コントロールの方法は上記と同じです。

※ 分娩までに上記の方法を必ず決める必要はありません。分娩の経過の中で相談していきましょう。
疼痛コントロールはすべての痛みを取り除くのではなく最低限の痛みに抑えるものです。麻酔の効き方には個人差があります。

● 麻酔を受けるために守って頂きたいこと
・絶食
麻酔の前には胃の中をなるべく空っぽにしていることが安全上必要です。硬膜外や脊髄麻酔を行う場合には絶食し水分のみの摂取になります
・歩行
硬膜外や脊髄麻酔を行う場合には転倒の危険があるので歩行はできません。トイレは定期的に助産師が導尿を行います。
・モニター
お母さんの血圧や、脈拍などをはかるために機械を装着します。また、赤ちゃんの状態を確認するためにNSTモニターを持続的に装着します。

● 起こりうる副作用や合併症
・分娩遷延
麻酔導入後に子宮の収縮力が弱くなり分娩が遷延してしまうことがあります。その場合は子宮収縮促進薬を投与し対処します。帝王切開率は増加しないといわれています。

・血圧低下
麻酔を開始した直後にお母さんの血圧が低下することがあります。点滴を増やしたり、血圧をあげる薬を使用するなどして対応します。

・胎児心拍数の低下
麻酔を開始した直後に赤ちゃんの心拍数が低下することがあります。お母さんに酸素を投与するなどし対応します。胎児心拍数が回復しない場合には、緊急帝王切開を行うことがあります。

・頭痛
硬膜外麻酔や、脊髄麻酔後に頭痛がおきることがあります。立ったり座ったりすると症状がでますが、臥床すると軽減します。痛み止めを使って、安静に過ごしてもらい対処します。

・かゆみ
麻酔薬の影響で全身にかゆみがでることがあります。硬膜外麻酔よりも脊髄麻酔で多くみられます。かゆい部分を冷やしたり、かゆみ止めを飲んだりして対応します。

※ 極めて重症な合併症
以下の重症な合併症は非常に稀であり、後遺症を残すようなものはさらに稀と考えられます。また初期の段階で適切な対応を行うことで重症になることを防止することができます。

・局所麻酔薬中毒
血中に局所麻酔薬が入ると神経の伝達を抑制するため全身に影響がでます。初期症状として耳鳴りや味覚障害、多弁などが起こります。重症の場合は痙攣や呼吸抑制、意識消失が起こることもあります。適切な初期対応で重篤になるのを防止する 必要があります。

・全脊髄くも膜麻酔
脊髄くも膜下腔に投与された局所麻酔薬が脳幹部まで達した場合に起こります。下肢の運動麻痺や、血圧低下、徐脈、呼吸停止が起こります。人工呼吸や、低血圧に対し昇圧剤を投与し対応します。

・硬膜外血腫、膿瘍
硬膜外麻酔で、背中に針を刺すときやカテーテルを抜く時に硬膜の外に血腫(血のかたまり)ができて、神経を圧迫することがあります。硬膜外膿瘍は、カテーテルを入れたところのみに発生する膿のかたまりです。血腫と同様に神経を圧迫して感覚や運動を麻痺させることがあります。また脊髄麻酔でも血腫や膿瘍ができることがあります。このようなことが起こった場合には整形外科手術による除去が必要になります。

・アナフィラキシーショック
麻酔などの通常の分娩では使用しない薬剤を使用するため、アナフィラキシーショックが起きることがあります。低血圧、頻脈、顔面紅潮、呼吸苦などをきたします。輸液投与や酸素投与、薬剤の投与で対応します。

● 費用 5~10万円(使用する薬剤や投与方法により変わります)

PAGE TOP